IE9ピン留め
【 PNH 】 ~発作性夜間血色素尿症~

新しい薬のお話をします。

アレクシオンファーマから2010年6月14日付にて抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤「ソリリス®点滴静注300mg」〔一般名:エクリズマブ Eculizumab(遺伝子組換え)〕が発売されることになりました。この薬は「発作性夜間ヘモグロビン尿症(paroxysmal nocturnal hemoglobinuria:以下PNH)」の治療を目的として、遺伝子組換え技術によって作られたヒト化モノクローナル抗体です。

PNHとは終末補体複合体(C5b-9)を介した血管内溶血の結果、極度の疲労感や貧血などQOLの低下
を招き、時には腎不全、血栓症および肺高血圧症など致死的な疾患を合併する非常に予後の悪い疾患です。小生も数人ですが、診療を担当したことがあります。



ソリリスはヒトC5に特異的に結合し終末補体複合体(C5b-9)形成が阻害されるという新しい作用機序により、「発作性夜間ヘモグロビン尿症における溶血抑制」を効能効果とする新規医薬品です。

「用法・用量」
①通常、成人には、エクリズマブとして、1回600mgから投与を開始します。
②初回投与後、週1回の間隔で初回投与を含め合計4回点滴静注し、
③その1週間後(初回投与から4週間後)から1回900mgを2週に1回の間隔で点滴静注します。

「注意すべき重大な副作用」
①髄膜炎菌感染症:髄膜炎菌感染症を誘発することがあるので、本剤の投与に際しては、当該感染症の初期徴候(発熱、頭痛、項部硬直、羞明、精神状態の変化、痙攣、悪心・嘔吐、紫斑、点状出血等)等の観察を十分に行い、髄膜炎菌感染症が疑われた場合には、直ちに診察し、抗菌剤の投与等の適切な処置を行う必要があります。海外では、死亡に至った重篤な髄膜炎菌感染症が報告されています。
②infusion reaction:ショック、アナフィラキシ一様症状等があらわれることがあります。

ソリリスは国内外の各種臨床試験において、LDH値低下や輸血回数減少などにおいてプラセボ群に対して有意差を示すことが報告されています。


しかし


薬価に驚かされます。


今のところ300mg/Vあたり58万円程度と見積もられています。


PNHは特定疾患に認定されるほど患者さんの少ない疾患であること、モノクローナル抗体療法の開発費用などを考慮するとそれぐらいの価格になるのは分からなくもないのですが、患者さんは常に高額医療費申請を行わなくてはならず、医療費の削減を狙う国家戦略とは矛盾します。


こういった少数ではあっても、画期的な効果を示すことが予想される薬剤がより供給されやすくなることを切に願うばかりですね。

(製剤写真:アレクシオンファーマHPより)
by chikara_home | 2010-09-06 22:54 | 血液内科
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